代表の佐藤です。

最近問い合わせが続いたことがありましたので、少しご説明といいますかご理解いただければ幸いと思い書いてみます。

 

設計時に、鋼板メーカーからの営業やカタログをご覧になってなのか、鉄鋼二次製品である折版屋根材など固有名詞や仕様ピッタリの寸法で指定されてしまう場合がありますが、ご注意ください。

鋼板メーカーは仕様を策定し成形機を設計しますが、実際に加工を行うのは各流通商社以下の二次問屋や加工業者が行います。
そちらでその成形機を導入していなければ、「設計上はあるがこの流通上にはない」という状況が発生します。
(逆に加工業者が成形機を設計製造したものをメーカーが拾い上げてカタログに掲載するパターンもあります。)

「カタログにあるということは世の中にはあるんだろうから手配できないことは無いんでしょう?」
とご要望をいただくこともあるのですが、例えば「神奈川の現場で必要だけど、どうも成形機は九州のほうにあるようだ、詳細は不明だけど」とか、「持っている業者は縁もゆかりもない、どころか販社が競合だ」という状況ですと、実質上手配できません。長尺ものになれば運ぶこともできません。カラー鋼板の場合は、色のバリエーションに関しても同じことが言えます。
販社・問屋・小売という流通+運送がある意味で固定されているのも、グループ化することで在庫(財務や床面積)リスクや与信のリスクなど様々なリスクを分散しているというのが理由となっており、スポット的にその流通外からの受発注することはそのリスク分散を乱すハイリスク・ロー(ノー)リターンの案件となるのです。
これは鋼板関連だけでなく全ての業界において同じことと考えます。

自動車で例えますと、トヨタは販売チャンネル(トヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツ、レクサス)ごとに販売会社自体が違うことはご存知かと思いますが、まさにそのようなこととご認識いただけると良いでしょう。
トヨペット店ではレクサスは購入できませんし、逆にレクサス店でクラウンを購入することもしませんね。

実際、流通を超えた取引きをしたことがありますが、まず普段扱わないためウチにカタログスペックを超える商品知識がない、商取引としてどういった口座とするのか、運送はどこが受け持つのか、荷運び上使用したパレットの回収はどうするのか、不足分の手配は、などなどなど、受発注以前に大変な騒ぎとなりますし、納品完了後も保証書やミルシートの手配など、窓口が違うことがどれだけの障害となるか痛感いたしました。ましてや既存の流通と競合している場合では窓口相手も「頑張って」くれませんし、既存の流通から干されるリスクも大いに考えられます。

 

そこから新たな商流が生まれるようなものであれば歓迎すべきことなのかも知れません。
上記の自動車の例でいえばサブディーラーのような立場ですかね。
ウチはそれでも取引先は多い方だと思います。どこかのメーカーや問屋の資本が入っているわけでもないですのでどこと取引きしようと自由です。逆に問屋に資本を投入しているくらいです。
どうしても扱いたい、これしかない、というものがあれば上のような苦労もなんでもありませんが、正直普段扱っている商材と良くて同等程度ですので、「なんでウチの流通のものを使ってくれないの」と悲しくなります。
「商品」とは、カタログスペック以上に、その製品に携わる人の関係など手配の過程にも価値がついていると考えられるのです。

 

流通の都合ばかり並べ立て、「できない言い訳」をしているような形となりましたが、既にあるものの中でできることを最大化するというのも大切なことなのではないかと考えています。
そして、鋼材というのはかなりスケールの大きい業界ですので、よほどの製造・流通・運輸送イノベーションが同時並列的に成されなければ、メーカーによる小ロット直売ということは起こらないでしょう。ましてや消費者の価値観・嗜好が多岐に渡る現在、統合の進む巨大な国内鋼材メーカー数社によって増え続ける鉄鋼二次製品を多品種小ロットで製造することは「無い」と断言できます。そもそも鋼材の中で建築の薄板の割合は重量ベースで2%以下ということもあります。
情報化社会の中で「前時代的」とか「冗長」と揶揄されることもありますが、やはりこの鉄鋼二次製品業界における流通は無くてはならない存在であり続けるだろうと考えるのです。

 

多くの情報が行き交い、物流が便利になり、製造元が非常に近く感じられる現代となっておりますが、こういった「商品の背景」にも目を向けていただければ幸いです。

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